登校初日

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真新しい制服を貰って、中にパーカーを着てから羽織る。 ぴったし。 シャワールームから出て、リビングで机の前に座ってるお兄さんに近付く。 「シャワー…と制服……ありがとう」 「どういたしまして。頭はよく乾かしたら良い」 「……お兄さん……お世話、好きなの?」 「お兄さん……名乗っていなかったな」 一瞬キョトンとしてから、お兄さんは笑みを浮かべ、それから右手を差し出してきた。 「俺は円谷良将。3年で……一般的に言えば、生徒会会長のような役職をしている。君は?」 「俺……凩八雲。八雲で良い、よ。えっと……つー…先輩?」 「円谷、だ。言いにくければ良将でも良い」 「うん、りょーすけ先輩」 頷いて手を握ればお兄さん、もといりょーすけ先輩は「君は子供っぽい」なとまた笑う。 「世話が好き、だったな。そうかも知れない。そう言う職についているのも、世話を焼きたいからかもな」 「すごいね」 「お節介なだけだ。でも、ありがとう」 頭をポンポン、とされ、それからりょーすけ先輩は立ち上がった。 「八雲。まずはともあれ、生徒手帳を入手するのが先決だ。職員室にあるそうなので、そこまで案内しよう」 「良いの?」 「忘れたか。俺はお節介なお兄さんだと」 意地悪そうな笑みでそう言われて、そうかと頷いた。 「ここが、職員室だ」 ガラス張りのドアの向こうでは、黒いスーツを着た大人が何人かいた。 先生も、服、統一してる? 首を傾げてるとアラーム音が聞こえ、りょーすけ先輩は左手首のブレスレットからモニターを出した。 「どうした?」 『円谷委員長! B2区間にて違反者を確認致しました』 「わかった。俺も今から向かう、君は取り押さえておけ」 『はい!』 通信を終えモニターを消すと、りょーすけ先輩は「すまない」と謝ってくる。 「用事が入ってしまった。俺はもう行くが、大丈夫か?」 「うん。色々、ありがとう……りょーすけ先輩」 「どういたしまして。また機会があれば、会おう。では、失礼する」 手を軽く上げ、りょーすけ先輩はカツカツと足早に行ってしまった。 それから、職員室のドアを2回ノックすると、近くのスピーカーから「入れ」と短く言われる。 何か、変わってる学校。
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