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お仕置き
静に引かれながら、寮に着く。
そのままロビーに行って、フロントの機械の前に止まった。
「ここに生徒手帳を翳すと、自分の部屋番号が表示されるんですよ。ほら、こうやって」
静がブレスレットを機械に翳すと、ピピッと音がなって画面に『509』って出た。
また、ハイテク……!
真似して翳してみる。
「737」
「おや。やっくんと階が分かれてしまいましたね……残念です」
「これ、学年別…とかじゃない、の?」
「部屋の階とかですか? はい、関係ないみたいですよー。空いてる部屋にランダムに入れられるみたいですね、一人部屋ですから気兼ねなくて助かりますが。ちなみに4がつく部屋は縁起が悪く存在しないそうです」
「へぇ」
一人部屋……そっか。
同室者とかいても……仲良く出来なかったら大変。
頷くと「行きましょうか」と促される。
「あちらにエレベーターがあります。階段もありますが、エレベーターにしましょうかー」
そうだ……りょーすけ先輩の部屋に行った時、乗った。
そんなこと考えてたら、不意に鼻歌が聞こえてきた。
……鼻歌? お兄ちゃん?
聞こえる方に顔を向ける。
「ふんふふーん。ワンダホービューティホーアンビリーバボー」
「…………」
「……韻を踏んでますね?」
「うん……?」
陽気に鼻歌を歌ってたのは、お兄ちゃんじゃ、ない。
肩まである金髪に三角巾、長身の人が、楽しそうにロビーをモップ掛けしてる。
?
あれ……あの人、外国人?
「あ、やっくん。あの方は寮長さんですよ。一応、挨拶します?」
「寮長…さん?」
「この寮の偉い人、ですよ。同じ生徒ですけどね」
静がそう言うのと、その寮長さんが手を止めたのは一緒だった。
「ふぅー、ピッカピカになりマシタ! ビューティホーデース」
両手を合わせて嬉しそうに笑ってる、寮長さん。
床を見ると、すごくピカピカ。
キレイ。
床を見てると、寮長さんはこっちに気付いて駆け寄ってきた。
「ワォ、おっかえりなさーいデース。えぇと、遠野サンとー……?」
「あぁ、ただいま帰りました。こちらはやっく……凩八雲くん、遭難して今日から通えるようになったんですよ」
「デスカ! コガラ……言いにくいノデ、八雲サンデスね!」
「え……静」
ニコニコと笑う寮長さんにビックリして、静の服の裾を掴む。
英語、喋れない……
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