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序
人は、己と敵対する者を《鬼》と呼んで忌む習性がある。
それは悪魔でも、魔神でも同じこと。
理解出来ぬ者、得体の知れぬ者、逆らい歯向かう者、異形の者、病める者、異人、異文化、異教徒…
自らと様相を異にする者全てを、『鬼』と呼んで忌避するのだ。
嘗て、東北の地は蝦夷と呼ばれて蔑まれた。
そこには鬼に属する蛮族が棲み、思う様、跳梁跋扈していると信じられて来た。
中央政権に従わず、独自の政治思想と文化を誇った北の民族を『まつろわぬ民』と呼んで、常に討伐の対象にして来たのである。
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