【壱】

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タクシーは、40分ほどで自宅へと辿り着いた。 タクシーのおやっさんは口をポカンと開けて、 「.... .... お客さん、ホントにここで宜しいのですか....?」 信じられない、という風に窓の外を見ていた。 「ここで結構。.... あ、釣は要らねぇから。」 7000円を手渡し、タクシーを降りる。 目の前には、 日本文化を彷彿とさせる、邸。 玄関口の門の前に立つ。 ───久しぶりだな。 ここに来るのは何時以来か。 首もとに下がる簡素な笛を取り出す。 小指ほどの、小さな物。 口に加えて、笛を吹いた。
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