シークレットオーガスト

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 八月にもなると夏の暑さは激しい。小森と咲崎は丁度昼時という事もありファストフード店にいた。店内は涼む目的の若者で、ざわざわと騒音と共に溢れ返っている。二人は八月一日から毎日会っている。それが小森の雇い主、咲崎のバイト内容だからだ。  八月の三十一日間、ただ一緒に行動するバイト。なんて楽だ、と小森は思っていたが、それはすぐに覆される。咲崎とまるで接点がないからだ。会話も持たない。気まずい。好きでもない女と一緒にいる事がどれだけ苦痛かを実感している。  それともう一つ、夏休みだというのに咲崎が制服姿であるという事もだ。これには参った。私服でよりチャラくみえる小森とぱりっとした制服姿の咲崎。いつも気にしない視線がかなり気になるのは言うまでもない。小森は咲崎の腕をひっぱり、行動に出た。
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