シークレットオーガスト

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「ふふっ」と微笑む彼女に誰もが振り返り、小森は優越感に浸る。だがそれは一瞬だけで終わる。 恋人同士でもなければ小森は咲崎を好きでもなんでもない。友人というのも違う気がする。これはバイトをやりやすくするための一項目だ、と小森は会計レジへと踵を返した。このくらいの出費は百万手に入るのなら小さいもの、と払おうとした時「自分で払う」と咲崎がカードを店員に渡した。黒いカードだ。 小森は初めてそれを見た。何故十七の女子がそんなカードを持っているのか、驚くしかない。咲崎はそんな小森に気づいたが、微笑するだけ。言いたくないなら聞かないさ、と小森は見なかった事にした。
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