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「ふうん…ま、いいわ。それで?あなたの目的は?」
声のするほうに目を向ける。そこにはトイレで俺を壁ごとぶっ飛ばした女が居た。艶のある濃紺の髪に、声に似合った強気で大きなつり目。それから某無双ゲームに出てくるような実用性あるのかと疑いたくなる服。これも南蛮の服なのだろうか。
しかしそれを見事に着こなす彼女は、改めて見てもやはり美少女だ。
「な、なによ…」
俺がじっと見つめていると、少し顔を赤くして眉にシワをよせ、身を護るように体を抱いた。そんな姿もまた美人だった。まあ、俺の心には戦がいるわけで。芸術品に向ける類の感動しか無い。あいつが依存をやめるまではこの恋は叶うことは無いが。
「貴様!さっさと姫様の質問に答えんか!」
俺がボーッと姫様を眺めながら考え事をしていると、鎧を着たこれまた美人が俺の首に戟を向けてきた。こいつの鎧も和洋折衷の鎧だ。胴体は正面からの攻撃…主に飛び道具の衝撃を逃がすために流線型をした金属製。肩や腰回りは防刃性の高い布と皮を編み込んだ日本の甲冑式だ。デザイン性も高いが、細かいところに合理的な構造が見られる。…意外と良いかもしれんな、和洋折衷。
そして中身の美女だが、声と武器からから察するに、あの攻撃的な口調の女だ。今現在突きつけられているこのクッソ重そうな武器をとんでもない速度でぶん投げてきた膂力。そしてそれを片手で持っているのに、重心に一分のぶれもない。凄まじい身体能力と戦闘技術とが見るからに華奢なこの体に搭載されていると思うと、頭が痛くなってくる。
あともう一つ疑問だが、ここには美人しか居ないのか?視線を移してみても、冷静な声の主であろう片眼鏡の女や、俺の意識が戻ったことに気がついた女の子も、美女に美幼女だ。
「おい!貴様!聞いているのか!」
おっと、怒らせて特なことは何一つない。ちゃんと返事をしなければ。
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