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「黙っていて申し訳ない。俺の名は賀上雹也。目的と言っても、俺自身どうしてここに居るのかわからないんだ…すまない。」
「なんだと…?そんな狂言が通用すると思っているのかッ!」
キレるポニー女。あ、戟を構えてる女ね。
「はぁ…状況から察するに、俺は暗殺者かなにかだと思われている様だが、誤解だ。俺はただの学生で、君達のことは何も知らない」
まあ、ただの学生ってのは些か違うが。切り札は隠し持っておくべきだ。
「ふうん…。『学生』が何かは知らないけれど…。どうしてここに居るのかわからない、ねぇ…。ならどうして警備の厳重な城の中でも特に警戒体制にある私専用の施設…それも厠の中から突然出てきたのかしら?」
「貴様…正直に答えんと首がスッ飛ぶぞ!」
ポニー女が首に戟を押し当てて来る。アレのおかげでこいつで死ぬことは無いだろうが…いや、こいつの膂力で思いっきりぶち当てられたら流石に堪えるか。それよりもこの女の眼力の方が怖い。
「落ち着いて下さい、勝家さん。そんなに脅しては喋るものも喋りませんよ?」
ほう、この女は勝家と言う……ん?いやいやいや。ちょっと待て。そんなことがあり得るのか?
「…すまないが話の腰を折る。あなたのお名前は?」
「私ですか?私は丹羽長秀。織田家の家臣です」
丹羽長秀に織田だと…?それじゃあ…本当に?マジで?
「それじゃあ…あなたは…織田信長だってのか…?」
「いかにも。私が織田家当主、織田信長よ。なんか文句ある?」
ジーザス。なんてこった。タイムスリップってやつじゃないかこれは。性別とか、服装とかいろいろ突っ込みどころはあるが、ここは戦国時代という事らしい。
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