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暗闇の中。急速に意識が浮上する。どうやらあの一撃で気を失っていたらしい。しかし、殺される前に無力化されたのは不幸中の幸いかもしれない。ひとまず殺されずにすんだ。
目を開けず、身動きひとつせずに思案する。何故なら近くに人が動くのが分かったからだ。決して気配なんていう曖昧なものじゃない。肌に感じる空気の流れ、温度を感じ取り、何人か近くにいることが分かったのだ。まあそれを気配というのかもしれないが。
するとやはりというか、声が聞こえてきた。
「なぜ生かしておくのだ!紫苑!」
「なんの情報も引き出さずに殺すのは馬鹿のする事です。それに…」
「この者の服の作りが南蛮の服に似ているわ。殺すなんて勿体ないじゃない?」
「また南蛮ですか…姫様…」
ふむ…この声、俺を張り飛ばした美少女とそこに駆けつけて来た男勝りの声に冷静そうな声。さっきの3人だ。一人は俺を壁ごと吹き飛ばし、一人は重そうな戟を凄まじい速度でぶん投げてきた。俺の命は姫様とやらが南蛮に興味があるらしいおかげで、なんとか助かっているが、俺の命は風前の灯火か。しかし南蛮とは。ここは未開の奥地かなんかか?洋服を見たことが無いのか?
しかしまあ、取り敢えず薄目を開けて状況だけでも確認しておこう。もし逃げるとなった時、正確な人数は把握しておきたい。確認したらゆっくり縄抜けしよう。いざとなったらあれもある。
「…バレバレ…」
「ッ!!」
俺が薄目を開けた瞬間に目の前に刃物の切っ先が向けられ、思わず大きく仰け反ってしまった。どうやら意識が戻っていることはバレバレだったようだ。しかし全く動かなかったんだが、どうやってバレたのだろうか。
「…途中から瞼の下で眼球が動き出した…意識が戻った証拠…」
なんと。そんな自律神経まで抑制できるものか。というかこの幼女 、俺を昏倒させた奴だ。こんな幼女に昏倒させられる、タヌキ寝入りまで見破られるとは。親父が知ったら、シゴキの嵐だ。
「…姫様…この者は忍の者ではありません…欺く技術が無さすぎます…」
OH!ジャパニーズニンジャ!?さすがクールジャパンだぜ!
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