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真理と会話を交わしながら一緒に教室に入ると、半分くらいの人たちがすでに教室にいた。
「紗由おはよう」
イスをひき席に着こうとしたところでクラスメイトに挨拶される。
私はその度「おはよう」と笑顔で返した。
‥いつものつくった笑顔で。
偽りの自分。それはよく分かってる。
でも仕方ないの。
こうしないとまわりのみんなから嫌われてしまう。
嫌われたくない。
もうあんな思いはしたくない‥
イスに座り、カバンからものを出していると真理が来た。
「ね、今日さ、M大の人からカラオケ誘われたんだけど行かない?」
私は一瞬固まった。
うわ‥心の中で呟く。
正直そういうのは苦手。
余計気を使って疲れるだけ。
できることなら行きたくない。
でもここで断ったりしたら嫌われるかも‥
私は笑顔をつくった。
「いいね!行こ行こ」
心とは逆の言葉。
それを聞いて真理は満面の笑みを浮かべた。
それを見てほっとする。
これでいい。
これが正解なんだ。
私は自分にそう言い聞かせながら数冊のノートの端を机でトントンと揃えた。
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