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振り返ってみると、思いかけず真摯な視線にぶつかって、ジョニーはたじろいだ。
言いたいことだけ言って逃げてしまおうとしていた卑怯者の自分を捕らえて離さなかったからだ。
「俺らって、ひとりひとりなんか足りてないやん?」
「?」
「俺なんか難しいこと考えるんさっぱりやん。
でもその分、マックやジャッキーがずうっっと先まで考えてくれてる。
やから、俺はいつでも後のことなんか気にせんと突っ込んでいけるんや。
エースもやな。アイツ、戦闘スイッチ入ったらなぁんも考えてへん、真っ向勝負しか挑めんて俺以上にアホやで!」
ヤバ、アイツおらんよな?とおどけて周りを伺う仕草のガムに、つられて笑ってしまう。
そんなジョニーを嬉しそうに見やって、ガムは言葉を継ぐ。
「ジョニーかて同じや!
ジョニーやトッポの掴んできてくれる正確な情報があるからこそ、マックらの確実無比な作戦が成立するんや。
アーセナルが後ろからフォローしてくれるから、俺らみんな真っ直ぐ前見て全速力で走れるんやで。」
乾いた土に水が滲みこむように、心に広がってゆくガムの言葉。
毎日そばにいたはずなのに、どこか見慣れない大人びて落ち着いた横顔を、ジョニーは眩しく感じる。
ただ見上げるしかない遠いものじゃなく、触れられる、手を伸ばせる距離から。
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