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一緒に歩道に立ち尽くすふたりの脇を、散歩中の犬を連れた老婦人がちらりと視線を送って過ぎてゆく。
「・・・どしたん?」
「・・・」
咄嗟に返事の出来なかったジョニーを、そのまま問い質すこともなく、ガムは手をとって公園の中に引き入れた。
「え、ちょお・・・、なに? ガム・・・」
「えぇやん、遊んでこ。」
こんな普通の日の朝っぱらから、ええ年のオトコがふたりして?
それはそれで、さらに不審の視線を集めてしまう気もするが。
すたすたと先を行くガムの引く手の力が、多少強引でも嫌な気はしなかった。
「朝起きたらこんなエエ天気やん?
もったいないから外で鍛錬しよ思て出てきたんよ。
ここんとこ雨続きやったもんなぁ、久々晴れて気持ちエエわぁ。」
振り返りはしないまま、なんでもないことを口にするガムの気遣いが心地よかった。
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