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道の隅で、猫が何かを食べている。 よく見てみると、何かの肉だ。 腐った肉。 ぐちゃぐちゃと、ぺちゃぺちゃと、嫌らしい音を立てながら食べている。 更に目を凝らす。 その肉は存外に大きく、沢山の猫が集まってきている。 よくよく見ると、猫達の影からその腐肉の頭らしきものが覗いていた。 そしてその顔は私の顔なのだった。 ニャアアア。 一匹の猫が顔を揚げた。 その汚れた顔に見覚えがある。 どの猫も知っている。 妻の顔だ、母親の顔だ。 息子の顔だ、娘の顔だ。 彼らが、腐った私を食べている。
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