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どれくらい時間がたっただろぅ…
状況を把握してない私は
振り替えって麗さんを見た。
麗さんは私の目を真っ直ぐに見て重たい口を開いた。
「克己の足が…」
私は白い布団をそっと退かして、克己先輩の足を見た。
………………ない?
右足がない…
しばらく動けずにいると、翔さんが私のかたを強引に掴んだ。
翔さんの目を見ると
言葉がでない…
涙もでない…
動くこともできない…
その後の記憶はあまりない。
どうやって帰ったのか
どうやって歩いたのか
何を話したのか
気がつくと私は麗さんの部屋にいた。
テーブルには私の好きなカフェオレと、
麗さんの好きなブラックのコーヒー。
「魅…
辛いけど、ちゃんと聞いて。」
麗さんはゆっくりと話始めた。
事故の状況。
克己先輩の運転するバイクにブレーキもかけずに側道から出てきた車がぶつかったこと。
後ろにいた翔さんの車から克己先輩の体が勢いよく道路に叩きつけられたこと。相手の車のこと。
そして
克己先輩の足が無くなったこと。
私は何も言えなかった。
止まらない涙
動かない体
涙が枯れるんじゃないかって思うくらい泣いた。
泣いて泣いて
泣きつかれた…
― どぉして?
克己先輩なの?―
私は相手の車の人を恨んだ。
幼い私はその日恨むことが精一杯だった。
克己先輩のバイクに乗る姿が好きだった。
私に逢うと駆け寄ってくる姿が好きだった。
翔さん達と子供みたいに走り回る姿が好きだった。
こんなことを思い出して
どれくらい時間がたっていたのだろぅ…
少し落ち着いた私は
麗さんと翔さんを見て
「でも、生きててよかった…」
と、笑みを浮かべた。
そしてまた泣いた…
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