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克己先輩も
麗さん、翔さんも
連絡はくれなかった。
ずっとずっと
ただひたすら携帯を握りしめて過ごした。
あれは、忘れもしない
2月の初め。
私の14歳の誕生日を
翌日に控えた日だった。
学校が終わり
空が薄暗くなっていた。
私はスケートリンクに向かうため
電車に乗っていた。
ピピピピピ…
と携帯が鳴り響く…
慌ててバッグから取り出して携帯の画面を確認した。
私は暫く通話ボタンを押せずに携帯の液晶を見つめてた。
―――麗さん―――
いつの間にか駅に着き
電車を慌てて降りると
我に返った私は
いつまでも鳴り響く携帯の通話ボタンを押した。
「…。」
「魅?
今まで連絡しなくてごめんね…」
私は言葉を発することができなかった。
「克己が死んだの…。」
― え…………?
「なんの冗談ですか?」
呆れたように笑う私は
色々な感情が込み上げてきて
そのあとの言葉が出てこなかった。
「今更かもしれないけど、逢いたいの。ちゃんと話がしたいの。」
― 何があったの?
こんなに待っていた電話…
言いたいこと、聞きたいことは一杯あったのに…
「わかり…ました。」
やっとの思いで返事をすると、
麗さんの元へ向かう電車に乗り換えて、
何も考えず
…何も考えられずって言った方が正しいのかもしれない。
何が何だかわからなかった…
― 死んだって何?
死ぬってなんだっけ…
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