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「…あの日、
克己が事故に遭った日…
運転してたのは翔なの…」
「………えっ?」
何が何だかわかんなかった…
「翔さんは…?」
翔さんの安否が気になった。
「翔は…
生きてるわ…
でも、克己が死んだことを言ってないの…
言えなかったの…」
麗さんは何度も
「ごめんなさい…」
と、頭を下げた。
私は言葉が見つからなかった。
少しして私は
「克己先輩に
お線香あげていいですか?」
と、お母さんに言うと
写真の前に座り手を合わせた。
言いたいことはいっぱいあった。
「…バカ…」
と呟くと、
涙が溢れた。
それでも私は、
克己先輩が大切にしてくれた笑顔を無理矢理つくって写真に向かって微笑んだ。
本当に本当に大好きでした。
この後、
翔さんに会うことなく
麗さんにさよならを告げて…
お母さんに
「幸せになってね。」
と言われて…
2度と会うことはなかった。
私には
耐えることのできない
現実だった。
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