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「悔しいのは分かる。男の俺から見ても卑怯なヤツらだと思う。だけど……憎み続けると忘れられないだろ?だから……今は何も考えるな。もう、大丈夫だ。如月が全て何とかするはずだから」
「うん……うん。忘れる」
薄暗い長い廊下には小春の啜り泣く声が響いていた。
こんな夜更けに、突然転がり込んで来た泥まみれの捨て猫のような小春が、どうしようもなく愛しくて仕方がなかった。
この時点では、自分自身の奥底に芽生えた気持ちに、鈍感な俺は一つも気付いていなかった。
愛しい思いは乱暴された少女に対して、唯の同情から来ているものだとそう思っていた。
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