0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
嬉しいような、恥ずかしいような照れ臭いような苦笑い。
誰もいなくて良かった。
ピンクの包みを箱に戻し蓋をしようとした時、『日』という文字とそれに続く漢字が半分見えた。
タイムスリップするような感覚で手を伸ばす。
5年生の俺が書いた日記帳。
夏休みの宿題だったのか、内容は友達と遊んだ話やクワガタ、川で泳いだり親父と行った野球観戦の様子が書かれていた。
「この頃はまだ僕だったんだな……」
いつからか自分の事を俺と言うようになった僕。
懐かしい思いで1ページから順に読んでいった。
最後のページは始業式の日らしい。
夏休み最後の日までで良いはずの日記は、9月の日付で終わっていた。
ヤンチャな僕が精一杯 背伸びをした文章が綴られている。
担任が描いた赤い大きな花マルと『大変よく出来ました』の桜型のハンコがあった。
俺は声に出して読んでみた。
最初のコメントを投稿しよう!