ヒューマニティー★ 地球滅亡をかけたアンドロイドと、とある組織の群像劇

プロローグ

□南エリア

日本エリアから南西へ3200キロの地点、そこは昔、多くの人間が行き来する有名なリゾートビーチだった。
地軸変動によって起こった異常気象と、大地殻変動は陸地を海に飲み込み、姿を一変させた。

数年が経過すると… 一度蒸発した海は雨水に満たされ、塩分を含んだ海水になった。 大洪水の海から積乱雲を想わせる巨大な岩が隆起した。周期的に来る熱波で海水温が上昇し、霧が岩山をかすめると、雲のようだと誰彼ともなく…呟く。
小さな岩も寄り添いムクムクと岩を島に変化させた。島はイワクモと呼ばれるようになった。
イワクモにはかつて陸地に生息した生物が存在しない。砂漠とかで生き延びていた生命力の強い動物ですら子孫を残す術を知らないまま絶滅した。

イワクモには何度かの激震で裂けた箇所が幾つもある。それは荒削りな刃で空を削ぐかのように聳え、新たな生き物の住処となった。放射能に順応した単細胞生物、そして誰かが意図して生み出したのであろう謎の甲殻類が、いつか訪れる種の繁栄を待ち侘びている。