吹き溜まりの群れ(B級再犯刑務所…)

17/226

315人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
又この冬を越さなければならない、なんてドジな俺なんだ、俺はやっぱり駄目な男だった、この時62歳に成っていた、今までにやった事と言えば業務上横領が一件あるが後は全部窃盗とスリでここに送り込まれて来ている、今度出所したら、今度出所したら、と思いながら同じ事を繰り返し執行猶予を入れるともう十回目に成ってしまった、後の後先に立たずと言うけれど本当だ、転ばぬ先の杖とも言うがこんな言葉は俺には当てはまる所は一ヵ所もない、只フラフラと遊び歩き大して大きな事も出来なく、こそ泥の様な事件を起こしては懲役に行っている、独居房で一人考えるがそれも一瞬の思いで、三歩歩けばすぐに忘れてしまう、この性格を一からたたき直さなければまともな人生は歩む事の出来ない人間に成り下がっていた、東拘の生活も相変わらずで自分の家に帰って来た様な安心感も多少あった、しかしこの棲家も二週間あまりで移送房の南舎二階に変房さるた、この房に来ればもう懲役と一緒の扱いに成る、この移送房には三日間だけ居た、四日目の早朝領置課まで行って自分 の荷物の整理や領置金といっても7、800円しか持っていなかった、
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加