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700円や800円の領置金じゃ、この先刑務所に行っても何も買えない、どうする、どうする、と言っても無いものはどうにもならない、そしてここに来たんです…」
「へえ…そうかよ、じゃ裟婆に居た時期は殆んどないよな」
「そうなんです…」
「じゃずうっと懲役に行きっぱなし様なものだな、考えて見ろ、全部で20何年の間に刑務所八回だぞ、計算すれば解るじゃないか」
「まあそうですね…」
「クリスマスも近いし、正月も近いので自分から飛び込んで来たんじゃないのか」
「とんでもないですよ」
「怪しいな、部屋はあったのかよ」
と誰かが言った
「あるさ、山谷の近くにね…」
「山谷の近く?山谷か」
「違いますよ…」
「じゃ、住所は?」
「住所は足立区の保護会に置いてあります…」
「ええ、保護会に…まあこれでだいたい解ったよ」
と皆顔を見合せた
「さあ甲府の鈴も鳴るし寝るか寝るか」
「この話を聞いていると世の中が嫌になってしまうぜ」
「まあ銀ちゃんここを出たら又泥棒で捕まって何処かの刑務所に行くんだろうな」
【第一章…臭い飯を喰う奴等】終り。
【第二章…三浦との出逢い】続く…
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