リアカー

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ジリジリと音がする様な夏の日差しのなかぼくはリヤカーを引いている。 ぼくは土の交じった汗を土まみれのタオルで拭った。 道沿いには畑しかなくほとんどの畑でスイカが作られていて、それが山のふもとまでつづいていた。 カラスが鳴き声をあげずに山の方へ飛んでいった。 ぼくはリヤカーを引いている。 「ふっん、ふっん、お疲れ様、ふっん、ふっん暑いねぇ」 向かいに住む田渕さんが畑の中から声をかけてきた。 田渕さんは畑の中で今年で75になるとは思えない身のこなしで腹筋運動をしていた。 ぼくはリヤカーを止めて、大きく息をすいこみ「青春、青春、青春」と叫んだ。 「ふっん、ふっん、青春だね~」 「青春、青春、青春」 「ふっん、ふっん、君に青春、ふっん、私に筋肉。」 「青春!筋肉!青春!」 夏の強い日差しの中、青春と筋肉が交差した瞬間だった。 Fin
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