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三匹で身を寄せ合うと、寒さを凌ぐことはできる。 しかし、お腹が満たされることはない。 暫くの間は我慢していた三匹だったが、成長期で食欲も旺盛なのだ。 我慢などできない。 一匹がゆっくりと疲れた身体を起こし、箱から外を覗き見た。 人の気配も、何もない。 ただただ、真っ白な世界が広がっている。 だが、そんな中、少しだけ、いい香りがした。 食欲をそそるような匂いだ。 一匹は、堪らなくなって箱から転がり出た。 もちろん、着地は失敗。 かっこ悪いくらい、背中を打ち付けた。 確かに痛いが、それよりもお腹を満たしたい思いがそれを上回る。 他の二匹も、同じように転がり出た。 その拍子に、箱も倒れた。 二匹は、上に覆いかぶさってきた箱からどうにかこうにか脱出すると、もう一匹を追いかけて走り出した。
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