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「パチン!」
手を叩くと、時間が戻った。僕がこの能力に気付いたのは、先月の高校の合唱コンクールの時だった。優勝校の合唱が終わり、スタンディングオベーションでブラボーって叫んだ僕が次の瞬間、前の日の夕飯の食卓で、旬の秋刀魚を食べていた。
「もうやめよう!」
「やめようですって?」
「無意味だよ!」
「無意味ですって?これは、貴方から先に仕掛けて来た攻撃よね?」
「攻撃?攻撃なんかしてないよ!する訳がないじゃないか!」
「だったらどうして手を叩いて時間を戻すの!」
「知らなかったんだ!自分にこんな能力があるだなんて、知らなかったんだよ!」
「アタシも迂闊よね?」
「何がおかしいんだ!」
「まさか、時間を戻せる人間がいるなんて考えもしなかった。でも、いるわよね。ちょっと考えれば分かる事だったのよね?」
彼女は、手を叩くと時間を進ませる事が出来る。
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
「パチン!」
僕は現在を維持する事で必死だった。
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