final world

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風が冷たい。まるであの女の視線のようだ。 「……………。」 俺は、銃をしまいながら、路地裏のゲロの上で冷たくなった女を見下ろしていた。まるで世界の終わりかのような悲鳴を上げながら、俺の真上を電車が通り過ぎて行った。 「動くな!」 気付くと5人の警官が俺の目の前にいた。向けられた銃口は、やはり冷たいあの女の視線のようだ。 「……………。」 急に夜が明けたのか?太陽は容赦なく俺を照らす。ジリジリと熱く、ヒリヒリと痛い。そしてまた、夜空が戻った。 「……………。」 俺は、数え切れないほどの銃弾を体に浴びた。それは幸運か?或いは不運か?銃弾は俺の頭と心臓を撃ち抜く事はなかった。 「……………。」 駆け寄る警官の足音も冷たい風の音も電車が通り過ぎる音も聞こえない。残りわずかな生の時間。俺は、何を見ているんだ? 「……………。」 音は聞こえないが、鼻が酸っぱいニオイを感じとった。どうやら俺もこの女と同じに、ゲロの上で死んでくみたいだ。俺は、女の目を見た。そして俺は、思った。 「……………。」 ところで、あの女のように冷たい視線のこの女は、一体誰なんだ?
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