冬の始まりの色

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タクシーを停めようと歩きはじめた父に太一が話し掛ける。 太一『いくら?』 父『ん?俺は父親だぞ?』 太一『関係ねぇよ。俺も稼いでる。払うもんは払う。』 父『稼いでる?』 振り返り少し驚いて聞き返す。 太一『あぁ。』 父『税金払ってんのか?』 太一『あ?』 父『税金だよ。払ってんのか?』 弁護士だけあって何やら固いことを聞いてくるなと思いながらも太一は答える。 太一『たぶん払ってねーよ。消費税と車の税金以外は』 父『じゃあ稼いでないな。』 太一『は?』 父『まあいい。とりあえず初めての酒くらいはごちそうさせろ。父じゃなくても年上だ俺は』 太一『なんだよそれ』 しぶしぶ太一は父とタクシーを停めにいく。 父『プライドは高いんだな』 太一『あ?』 父『貸しは作りたくないのか』 太一『…当たり前だろ。』 父『なら安心しろ。俺が今お前に借りを返してる最中だ(笑)』 太一『は?』 父『カハハハ』 時間が時間だけにタクシーもそこら中に溢れ返っていて手を挙げるとすぐにつかまり、二人でそれに乗り込む。 父は歩いても10分くらいの地名を告げた。
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