冬の始まりの色

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タクシーを降りてから数分。 クリスマスなど関係なく一年中ネオンが輝くその街はより一層賑わいを増していた。 太一は父の後ろを歩いていくと、通りにある一つビルの地下一階にあるBARへとたどり着いた。 暗めの店内にはジャズが流れ、太一の年ではまだ少し早そうな雰囲気の店だ。 周りにはやはり団塊の世代とでもいうのだろうか。 それなりに歳のいった客がちらほらとグラスを傾けていた。 父が座った丸テーブルの席に太一も座る。 暗めに照らす照明の下で灰皿とメニューだけがテーブルの上にあるのがわかる。 父『ウイスキーはいつも何を飲むんだ?』 ダウンジャケットをかけ、席に座りながら太一はこたえる 太一『ん~適当だな。』 父『バーボン?スコッチ?良く飲む銘柄は?』 太一『特にこだわりはないよ。多いのは山崎…好きなのはバランタイン…かな。』 父『確かに適当だな(笑)じゃあ…』 父はウェイターを呼び止めるとバランタインの17年とチェイサーでビールを注文した。 チェイサーでビールを飲んだことなどない太一はまた一瞬驚くも表情には出さずに済んだ。
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