冬の始まりの色

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テーブルに置かれたウイスキーの入ったグラス二つにビールの入ったグラス二つ。 ウイスキーを手にとりグラスを合わせる。 ワインのあとにウイスキーのコースなんて最近記憶にない太一は今日は酔うことを覚悟した。 父『うん。うまい。』 太一『親父も毎日飲むん?』 父が今日初めての太一からの質問に少し嬉しそうにする。 父『ああ…飲む。飲まないと寝付きも悪いし夜中に何度も目が覚めちまうんだ』 太一『そんなもんか』 父『そんなもんだな。』 弁護士なんて仕事をしていてもそんなもんか…と太一は親近感のようなものを感じた。 思えば太一は父のことを名前と職業くらいしか知らない。 誕生日すら。 そんな父が少し多めにウイスキーを口に含み、飲み干すと思い切ったように口を開いた。
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