きっかけの色

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なかなか下がらないなと太一が不思議に思い始めた頃 ゆっくり…ゆっくりと恐る恐る軽自動車は下がり始めた。 が、次の瞬間軽自動車の左後ろ部分が入り口方面から走ってきたミニバンの左前部分と接触してしまった。 太一は入り口から入ってきた車の運転手が携帯を見るためにうつむいていたのをしっかりと見ていた。 ミニバンの運転手は車をとめるとすぐに自分の車を確認し、軽自動車の運転席へ怒鳴りながらすごい形相で詰め寄った おそらく四十過ぎになるであろう運転手のオジサンは若草色の作業ズボンに紺色のジャンパー姿 お団子ヘアーの女の子は車を降りるとミニバンの前に連れていかれて傷を見せられている 軽自動車に少し擦った程度の跡が見えることからミニバンもきっと大層な傷はついていない 太一は普段ならこんな他人の事故など気にもとめないが一方的に攻め立てるオジサンの怒鳴り声とその内容が気分を損ねた。 また、他にも何人も見ていたはずなのに誰も関わろうとしないことにも苛立った。 太一はココア片手に二人のもとへと歩み寄っていった
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