始まり

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  同じ頃、また別の街で---- 「ママ…。じーじが倒れてるよ。」  「えー?何言ってるの。おじいちゃん、何処に居るって?」  「じーじ、倒れてるもん。」  「もう…この子は…。」 一応、一人暮らしをしている実家の父に電話をしてみよう。  と、電話をしてみたが、繋がらない。  不安になり、車で20分程の実家に行ってみると、父は庭で倒れていた。  どうやら、庭の手入れをしている最中、誤って高い所から落ちてしまったらしい。  幸い、大した怪我でなく良かった。  この子が教えてくれなかったら、誰にも気づかれずに、ずっと庭で倒れていたかと思うと、ぞっとした。  「よく分かったわね…。」  「だって、見えるもん。」  産まれたときから、少し変わった子だった。  上の2人の兄と比べて、やたら勘の鋭い…。  どうやら この子は遠くの事が見えるらしい。  普通ではない…  心配になり、夫と相談してから、大学の専門の教授の所に行くことにした。
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