2人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、この作戦は成功どころか大失敗に終わった。ワーハクタクは私の頭上に居たのだった。そこから私の弾幕を撃ち落とした。
それが合図だったかのように四方八方から昨日の男たちが一気に私たちとの距離を狭めてくる。
何が起こったか状況を把握しきれてない私たちはとっさに体が動かず、もう弾幕を撃てるような距離ではなくなっていた。
男は私より一瞬早く体の自由を取り戻し、私をかばうために押し倒すような形で私に覆いかぶさる。
しかしそれは結果的に男と私を引き剥がすために次々に上に乗られて私を苦しめる形となる。
結局すぐに私は暴力に曝されることになり、それから逃れようと無我夢中で爪を振るう。
その爪が何人かを捉え、呻き声があがったとしても、それはただ怒りを買う行為にしかならず、降り注ぐ痛みが強くなるだけだった。
痛みは熱さへと変わり、その翼を羽ばたかせることも叶わず、喉が燃えるように熱く、声を出すことも痛みがそれを阻む。
やがて熱さは皮膚を裂く冷たさへと変わり、ついに意識も朦朧とし始める。
遠のく意識の中、ふと耳に届いたのは痛みが阻む自分の声ではなく、荒れ狂う怒声や罵声でもない、男の声だった。
「くれーじー……ないと……あいじゃすとうぉんとりすんつあ…………」
(なに?なんて言ってるの?)
「……ざないと……あいじゃすうぉんとざ……ぼいす……」
私には言いたいことがわからなかったが、なんとなく私に向けられた言葉な気がした。
「・・・・・・・ナニゴト!?」
そんな声が聞こえた気がしたが、それ以上私は意識を保つことはできなかった……
最初のコメントを投稿しよう!