2人が本棚に入れています
本棚に追加
「そしたらもうひとつ教えて」
「なんです?」
「私をかばっていてくれていた男は?」
「その人かはわからないですけど、一人あなたの近くにいた方もあそこから救出はしました。他の方たちよりも重症でしたので」
「救出はしました?それって……」
「……私はさっき言ってくれたらできるだけすると言いました。聞きたいというのなら答えますが」
「……教えて、彼はどうなったの」
「亡くなられました。ここについた時にはもう既に……」
「なんでよ!彼は!あっ……ごめん」
この人は私を救ってくれた恩人なのについ声を荒げてしまった。けどこの人は私に微笑みかけてくれた。
「いいですよ」
「それで……殴られて殺されたの?」
「確かに殴られた痕はありました。けど、それが原因かはわかりません」
つまりそれは、他の傷があったということだ。奴らは多分武器らしいものを持っていなかった。
なら、それは彼の短刀によるものなのか、それとも……無我夢中で振るった私の爪なのか……
これを聞くのはとても恐ろしい。だが、私は知っておかなくてはいけないと思った。
「彼は自ら命を絶ったの?」
「……」
答えてくれない。いや、答えられなかったのだろう。たぶん、もうひと押ししたら教えてくれるだろう。ただ、その反応でわかった。
最初のコメントを投稿しよう!