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「おれはその時、里を出ると決心した。だが、最後に里のみんなの喜ぶ顔だけ見たかった。ただ、それで依頼を成功させては意味がなかった」 「それで、今回のような作戦にでたのね」 「そう、だって妖怪とはいえ見た目はこんなに幼い娘をうるさいからなんて理由で懲らしめるなんておかしいだろう。しかも相手は夜雀だぞ」 「失礼ね。あんたより長く生きてるわよ」 「知ってるさ。それに馬鹿にしたわけではないぞ」 「そうなの?それで里をでてどうするのよ」 「なにも決めてない。別に途中で力尽きて死んでも構わないと思ってるしな」 そう男は締めくくった。途中、声を荒げた以外は消え入るようなか細い声だったが木々から溢れる月が男にスポットライトのように降り注ぎ、この森の中でひときわ輝いていた。 「そう……私にそれをとめることなんてできないわね。でもお礼くらいさせてよ。私の屋台に来ない?」 「お礼?そもそもおれのせいで辛い目に合わせたんだからお礼をする必要なんてないだろ」 「まぁまぁそんなこと言わないの。助けてもらったことは事実だし、私たち妖怪は人間みたいに世知辛くないわよ」 「使い方おかしくないか?」 「そうなの?」 「いや、おれも勉強してないからわからん」 「ならなんでおかしいとか言うのよ」 「ははは、まぁその心遣いを無駄にさせてはいけないな。お邪魔させてもらおうか」 「一名ごらいてーん。さ、こっちよ」 今度はは私が男の前に立ち、進み始める。たださっきとは違って足取りも軽い。歩くのは苦手だけどスキップは好きだ
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