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「さっ、ついたわよ」
そこまで時間もかからず屋台につき、私は男の方に振り向く。男は屋台を眺めた後、席の一つに座った。
「質素だが思ったよりきちんといているな」
「失礼ね。質素なのは移動するときに軽いほうがいいからよ」
「それもそうか。さ、おかみ。メニューは何があるんだ?」
「メインは八目鰻ね。いちおほかにも色々あるけど」
「そしたらそれでいいか」
「ちゃんとお酒もあるわよ。雀が作る酒は美味しいわよ」
「おっ、それは楽しみだな」
「最後くらい贅沢しなよ。今日はいくら飲み食いしてもいいからね」
「最後とはひどいな。まだ死ぬとは限らないぞ」
「ふふ、さ、お酒が入ったわよ。八目鰻もすぐできるわ」
「これが最後の晩餐か」
「自分で最後って言ってるじゃない」
「いい酒だな。好きな味だ」
男は酒を一気に飲み干し、出来たての八目鰻にも手を伸ばす。
「そうごまかして……さ、2杯目よ。他にリクエストはある?」
「そうだな。そしたら何か歌を唄ってくれ」
「あら、もう酔った?」
「おれは酒に強いほうだ。さぁリクエストに応えてくれよ」
「そう?なら唄ってあげるけど。睡魔が襲ってきても知らないわよ」
「はは、夜盲症じゃないなら構わないさ」
「冗談じゃないわよ。まぁしっとりした歌ってだけだから能力じゃないんだけどね」
「まぁおれが寝てたら喰ってくれても構わないぜ。最後の晩餐の覚悟は決めたしな」
「お腹が空いて食料がなかったら考えるわ」
「それじゃあ頼む」
「いくわよ……~~~♪」
「ふぅ……あ、やっぱり寝ちゃってる。まあいいか。これ以上ただで食料は減らないんだし」
「・・・スースー」
「気も済んだし私ももう寝ようかな……朝ごはんはちゃんと作ってあげようかな。これだけじゃあかわいそうだしね」
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