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思わず首を傾げると、頭にあった重さは消え。
「っ?!」
今度は、左頬に温かみを感じた。
「とにかく、今夜は家から出るな。――分かったか?」
なな、なんでこんなっ……!?
さも当たり前のように、頬に手を添える少年。
眼差しは真剣そのもので、冗談とは思えないその行動に、頭の中はパニック寸前。言葉を口にしようにも、うまく出てくれなくて。喉まできては消えてしまう言葉をなんとか紡ぎ出し、
「…………わかり、ました」
小さいながらも、ようやく言葉を発した。
聞き取れたのか、少年はよし、と頷くなり、頬から手を離していった。
び、びっくりしたぁ……。
まさか、頬に触られるなんて。
胸に手を当てれば、まだ心臓はバクバクと高鳴っていて。深い深呼吸を何度かすると、ようやく、心臓はいつもの落ち着きを取り戻し始めてきた。
そうなってくると、今更のようにさっきの話が気になってきて。
「……どうして、出たらダメなんですか?」
その理由を、少年に聞いていた。
「――利かない、のか?」
すると、なぜか意外そうな表情を浮かべる少年。
私は私で不思議そうにしていると、それを感じたのか、少年は改めて話を始めた。
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