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 ◇◆◇◆◇ 「今日は、なんだか機嫌がいいのう」  食事後のお茶を飲んでいると、おじいちゃんからそんなことを言われた。 「そう? 私、そんなに楽しそうに見える?」 「あぁ。なんとなく、な」 「ふふっ。なんとなくなんだね」  おじいちゃんが言うとおり、今日は気分がよかった。  体調がいいっていうのもあるけど、一番は、あの少年と会ったことだろう。  思い出したら、自然と笑みがこぼれていて。なにがあったのかと聞くおじいちゃんに、自分と似た病気を持つ人と会ったことを(薬をあげたことはふせて)話した。 「そうかそうか。そりゃあ話もはずんだじゃろう?」 「うん。でも、ちょっとしか話せなかったんだよね。名前だって、聞きそびれちゃったし」 「大丈夫じゃよ。きっと、また会えるとも」 「そうだとうれしいなぁ」  お茶を一口飲み、しばらくぼぉーっと湯呑を眺める。  本当、また会えたらいいんだけど。  そうしたら……今度はもっと、色々話したいな。  最初はやっぱり、病気の話題になりそうだけど。 「――もう、時期なんじゃな」 「? なにか言った?」 「いやなに。もうすぐ、ばあさんに会いに行くかとな」 「あ、じゃあ明日にでも、お花買わなくちゃ」 「急ぐことないぞ。今週中に買っておいてくれ」  この家には、私とおじいちゃんの二人だけ。おばちゃんは去年他界してしまって、両親は物心つく前に亡くなってしまった。  二階建ての家に二人だけっていうのは、時々やけに広く感じることもあるけど――少しずつ、それにも慣れつつあった。
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