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「ここでは目立ちますから」  部屋で話しましょうと、青年は自宅へと、少年を招き入れた。 「それで……どのようなお話ですか?」  少年もソファーに座らせ、青年は目的を問う。 「そのように警戒しないで下さい。危害を加えるつもりはありません」 「悪いですが、貴方たちの一族からは、あまりいい待遇を受けていませんので」 「それについては、大変申し訳なく思っています。――ですが、オレはあなたを狙ってここに来たわけじゃない。むしろその逆で、警護を頼まれました。だからもう、我々の前から姿を消さないでほしいのです」 「……それをすぐに信じることは出来かねますね。今まで何度も狙われていますし。すみませんね、疑り深い性分なもので」  やわらかい物腰ながら、少年に対する眼差しには警戒の色が見える。それを感じ取ったのか、少年はひとまず、違う話題を切り出した。 「先程、ある少女に会いました」  それに青年は、特に気にする素振りもなく聞いている。しかし、少年が次の言葉を口にした途端、それまでの態度が一変した。 「自分たちと同じ病気らしいですね。しかも、あなたが作った薬をのっ!?」 「彼女に――何かしたのですか?」  静かに、それでいて冷たい口調。  ほんの一瞬のうちに、少年は胸倉を掴まれ、壁へと押し付けられた。その力はあまりに強く、少年はそれを振りほどくことが出来なかった。 「っ、……なに、もっ」 「その言葉――嘘はありませんね?」  頷く少年。  その瞳を食い入るように見定め、青年はようやく、少年から手を離した。
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