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 久々の登校は、特に体調も悪くなることなく過ぎていった。  帰りのホームルームが終わると、私は軽いため息をついていた。気を張っていたからか、少し体がだるい気がする。 「それじゃあ日向さん、また明日」  挨拶をする月神君に、私も挨拶を返した。  結局、あれからどこで会ったのか教えてもらってない。何度か話しかけてみたものの、なぜかはぐらかされてしまって。 「……どこで、会ったんだろう」  帰り道、未だにわからない理由を考えながら歩いていた。  思い出してくるのは……あの日、少年と男の人に会ったことぐらい。本当にどこであったんだろうと、私は帰り道でも頭を悩ませていた。 「――こんにちは~」  軽快な口調で、突然目の前の少年から話しかけられた。  それに驚きながらも、私は挨拶を返し、会釈(えしゃく)をして通り過ぎようとすれば、 「あれ、今度は逃げないんだね?」  と、そんな言葉をかけられ、思わず足を止めた。  “今度”と言うことは、前に会ったことがあるの――?  振り返り、じっくりとその人の顔を見た。  さらさらとした茶髪に、耳が隠れるほどの長さ。八十はあろうかという高身長の持ち主で――改めて見ても、心当たりが無い顔だった。 「二ヶ月も経つから忘れちゃった? ほら、あの時だよぉ~」  尚も親しげに話しかけられ、私は罪悪感がわいていた。  ここまで言ってるんだから、人違いじゃなさそうだし……。
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