93人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふっ、興味持った?」
「……それが、本当なら」
「ウソなんて言わないよ。それにほら、こうやって話してるんだから、もう友達でしょ? 友達にウソなんて言わない言わない!」
片手を握りながら、雅さんはなんとも嬉しそうに私を見た。
同じ悩みを持つ友達ができるのは嬉しい、けど……。
「あ、顔赤いねぇ~。照れてるの?」
口元に手を持って行かれ、どうなの? と、意味深な視線を向ける雅さん。
私は声にならない声を上げ、ただおろおろとしていた。
さ、さすがにこれ以上は……!
もう限界だと、これ以上のスキンシップをやめてもらうために、なんとか言葉を振り絞った。
「あ、あのう……」
「今度はな~に?」
相変わらず笑顔の雅さん。
未だ私の手を離さず、しっかりと握り締めている。
「私……こういうのは、苦手です!」
「こーいうのって――コレのこと?」
握っている手を持ち上げ、確認をとる。それに頷けば、渋々ながらも、雅さんは手を放してくれた。
――意外、だなぁ。もっとしつこいかと思ったのに。
でも、やっぱり残念だったのか。雅さんは、どこか拗ねたような表情をしていた。
「これぐらいイイと思うんだけどなぁ~」
「そ、そうかもしれませんけど……そういった経験が無いから、苦手なんです」
その言葉に、雅さんはすかさず興味を示す。
「そういった経験って、なんなのかなぁ~?」
ニヤニヤと怪しげな表情を浮かべ、どういうことなのかと問い詰めてくる。
「だ、だから……男の人と手を繋いだり。――こ、こうやって過ごすことがですよ!」
距離を詰めてくる雅さんの肩を押し返し、私は強めに答えた。
最初のコメントを投稿しよう!