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「彼女を誘惑されたら迷惑だ」 「だから、アンタには関係ないって言ってるだろう?――“オレのモノ”に、手出しするなよ」  別に、私は誰のものでもないんですけど……。 「勝手な事を言うな。これ以上の行いは――報告させてもらうぞ?」 「ははっ、告げ口? でもさ、美咲ちゃんがイヤがってなければ問題ないだろう?」 「お前の行動事態が問題だ。大方、無理やり迫ってるんだろう」  うん、それは確かに合ってる。心の中だけでその言葉に頷いていれば、 「――彼女を渡せ」  と、月神君から意外な言葉が飛び出した。 「渡せと言われて渡すヤツ、いないよ? これからもっと楽しむんだから、早く用事済ませて消えてくれない?」 「楽しむって……お前が言うと、別な意味に聞こえるが?」 「そんなつもりは――あるけどね」  笑顔全開で答える雅さんに、月神君は不満を露(あらわ)にする。 「それが本気なら、実力行使に出る」 「そっちこそ迷惑。ジャマせず帰ってよ」  もうダメだ……ここで言わなきゃ、気が済まない!  静かに。  そして深く息を吸うと、 「……うるさい」  両手に力を込め、ゆっくりと、怒りを含んだ声を口にした。
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