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「今の……美咲ちゃん?」 「……だろうな」  雰囲気が違うと感じたのか、二人は口論をやめ、私に視線を向ける。 「美咲ちゃん……ごめんね?」 「日向さん……悪かった」  二人の口調が、次第に汗を帯び始める。ほったらかしにしたのを、今更のように気が付いたらしい。  肩から手を離し、謝ってくる二人。それに私は、笑顔で二人の顔を見るなり、 「――ほっといて下さい」  そう言って、一人家へと歩き始めた。  慌てて後を追いかけ話しかけてくる二人。でも今は、正直話す気になんてなれない。だから私は、無言を貫くことにした。 「アンタのせいだからね!?」 「オレだけじゃないだろう!?」 「ふんっ。王華(おうか)だから、その辺の空気が読めないんだよ!」 「っ!……そういうところが、雑華(ざっか)の悪い癖だな!」  はぁ~……まだやってる。  後ろで二人は、また口論をしている。  聞きなれない言葉が聞こえてくるけど、今はどうでもいい。呆れながら歩いていると、もう自宅が間近に見える位置まで来ていた。 「……ここまでで結構です」  振り返り、二人にこれ以上付いて来ないよう言う。笑顔ではあるが、もちろんまだ内心、怒りは消えていない。 「分かった。オレたち二人はもう帰る」 「ちょっと、勝手に決めないでくれる?」 「いいから来い! それじゃあ日向さん、気を付けて」 「ちょっ、わかったわかった! 帰るって!!」  首根っこをつかまれながら、雅さんは月神君に連れられ(どちらかと言えば引きずられ)ながら、二人は立ち去った。
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