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「……なんだったんだろう?」
どうして二人が現れたのかわからないまま、私は家に向かった。
その時ふと、月神君の言葉を思い出した。
確かさっき「あの夜、逃げたくせに」って、言ってたよね?
それに学校で、私に「久しぶり」とも。
だとしたら――月神君は、あの時の?
「……でも、色が」
瞳の色が、月神君は黒みがかった茶色。でもあの夜の少年は青い色のはずだから、やっぱり違う、とか?。
雅さんの話じゃあ、いつもと格好が違うらしいけど――。
悩みながら部屋に入るなり、私はベッドに身を委ねた。
久々の学校だからっていうのもあるけど、一番は、あの二人が原因かもしれない。
成り行きとはいえ、今までの人生で初デートを体験。おまけに、あんな風に男の人と接するなんてことも初めてで。
「本当……なんだったんだろう」
雅さんもだけど、月神君の行動にも謎がある。私にどんな用事だったのか、なんであんなに怒っていたのかとか。
「――考えてもしょうがないか」
起き上がると、私は私服に着替えた。
今日から三日間、おじいちゃんは地域の旅行でいない。夜になるにつれ、広い家に一人だと、なんだか淋しい気持ちになってくる。
テレビでも見て気を紛らわそうと、お気に入りのハーブティーをいれソファーに腰掛けた。
しばらくそうしていると……薬が効いてきたせいもあってか、少しずつ、睡魔が襲ってくる。
この時の感覚は、ふわふわと浮いているようで好き。
寝ているような。
起きてるような。
意識が曖昧になる心地に、このまま身を委ねてもいいかな、なんて気になってくる。
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