【第一章】来訪者

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「とてもシンプルなものですよ。この点を見れば、取引というよりはむしろ依頼と言った方が正しいかもしれません」 「……何です?」 和樹は警戒心を最大限に発揮しながら、慎重に言葉を発した。 最初から何事においても相手の要求を呑むつもりはないが、受けるというポーズは必要だ。 来るべきその時には、しっかり油断しておいてもらわなければならないのだから。 「あなたに依頼することと言えば決まっているでしょう?抹殺ですよ、抹殺。あなたには、私の言うある一人の男を、完全完璧にこの世から始末していただきたいのです」 「…………」 和樹はつい黙ってしまった。 そう、 和樹の職業は『殺し屋』。 この現代社会で、主に暗殺を生業として生きている。 非合法な依頼金と引き換えに、特定の人物を殺す仕事。 裏の仕事で、かつ和樹は依頼人と直接会って仕事を取ることはしないため、容姿が有名になることはないが、その仕事名はその世界ではひどく有名だった。 いや、仕事名というのは正しくない。 字名とでも言うべきか。 彼に頼んだ仕事の達成率は100%。 狙われたが最後。 決して逃げられない。 だから、 彼はその世界の住人たちからはこう呼ばれているのだ。 『死神』と。
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