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「くそっ。来やがったら絶対にタダじゃおかねぇ」
和樹はそんなことを呟きつつ、ふと腰を上げる。
別段何か変化があったというわけではないが、単に座りっぱなしだったから体を動かしてみたくなっただけだ。
和樹は体をクイックイッと回し、体をほぐしていく。
骨がポキポキと鳴り、筋肉も久しぶりに柔軟さを取り戻していくのを感じた。
もうあれから追加で30分は経過したか。
さすがに待つことにも疲れてきた。
諦めることはどうしてもできないが、少し休息を取るくらいなら別に構わないだろう。
非常に珍しく、和樹はそんなことを思い始めた。
今までに一度も無かったことだが、特に疑問は抱かなかった。
和樹はスムーズな動きで、ランプのサイレントモードを解除するために足を動かす。
目覚まし代わりだ。
相手がこのビル内に足を踏み入れれば、その瞬間にこのランプが鳴る。
とても小さい音だが、和樹なら問題ない。
和樹は睡眠中ほんの少しの音でだって飛び起きることができる。
和樹は立ったままパソコンをいじり、ランプのサイレントモードを解除すると、そのまま元の定位置に戻って体ごと机に突っ伏した。
もう完全におやすみモードだ。
和樹は自分の腕を枕にしながら、ウトウトと目を瞑る。
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