キライなもの

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「はぁ・・」 楽屋を出たからといって特に行く宛もないから、休憩所に腰を降ろす いきなり席を立った俺を、シノレンはどう思っているんだろう 別に俺のことなんか何とも思わないか 「・・はぁ」 自分で考えてて虚しくなってくる 「、飲み物でも買うか」 よっこらしょ、なんて親父臭い独り言を呟きながら腰を上げて自販機にお金を入れる ブラックコーヒーのボタンを押そうと手を伸ばした瞬間 ピッ 「へ・・?」 ゴトン 「ごちそうさまでーす」 「ちょ、キノ!」 いきなり後ろから伸びてきた手に勝手にボタンを押されたと思ったら、平然とした顔でココアを手にするキノ 「奢るなんて言ってないんだけど」 「そうでしょうね、私も聞いてません」 少し反論してみたけれど、キノにはやっぱり敵いそうもないから諦めてもう一度お金を入れる 「急に話放棄されて、蓮くん困ってましたよ」 「・・」 「何かあったんですか?」 「特に何も」 コーヒーを手にキノの前に腰を降ろす キノは何だか困ったような顔をしていて、思わず聞き返す 「何かあったのはお前じゃねぇの?」 「え?」 「何でそんな顔してんだよ」 「・・」 「どうした?」 黙りこくってしまったキノに再度問いかけると、意を決したように顔を上げた 「聞いても、いいですか?」 .
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