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ふわっ
風が一際強く拭いてカーテンを揺らす
「れん・・!」
その瞬間、無意識に彼を呼んでいた
「紅、くん・・?」
振り返った彼は目を丸くさせてきょとんとしている
その姿はいつもの可愛い弟みたいな彼で
「よかった・・」
自然と言葉が溢れてしまった
「よかった、って何が?紅くん相変わらず訳わかんないね」
怪訝そうな表情で悪態をつく彼にうるせーと返しながらそっとため息を溢す
俺だってわかんねーよ
でも、何か蓮が消えちゃう気がしたんだ
「帰ろーぜ」
頷いた蓮の腕を掴み歩き出す
触れている手がいつもより熱い気がするのはきっと気のせい
でも何かが変わった気がした、とある日の帰り道
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