紫陽花

しあわせ

「も、一回」

「え？」

「もう一回、して･･」

真っ赤な顔を上げてくれた蓮くんを再び引き寄せて、今度は味わうように何度も口付ける

場所が場所だから大人のキスは出来ないけど、心が満たされていくのを感じる

名残惜しいけど唇を離したら、さっきよりも真っ赤で

でも、幸せそうに笑う蓮くんが目の前にいて

「紅くんも、」

「ん？」

「紅くんもあの人といて、こんな気持ちになってるかな･･？」

「こんな気持ち？」

「すっごくドキドキするけど、それ以上に幸せな気持ち」

「･･なってるよ、きっと」

余りの嬉しさに口許が緩まないように気を付けながら言葉を返す

すると蓮くんは嬉しそうに笑って

「ならいーや！」

紅くんが幸せなら何でもいい！

何て言うもんだから

「んふ、そうですね」

また僅かな嫉妬心が芽生えるのを感じながら、知らないフリをして笑顔を見せた

このキラキラした笑顔が紅さんを想ってだと思うと、すごくムカつくけど

紅さんを大切に想うところも好きだから、許せちゃうんだよ

それに

「俺は、蓮くんが笑ってれば何でもいいんです」

「キノ、何か言った？」

「別に何もー」

だからとりあえず、大切な蓮くんを泣かせた罰として紅さんをシバきに行きますかね

end
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