その2

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「一馬が産まれた頃から接してますから、きっと免疫はついてますし。今更ですわ」 「いや、しかしだね」 「あのね、慎一郎さん、一度話をしておかないといけないと思っていたのですけど」 秋良は頭を少し振り、彼の前の席に「よっこいしょ」と言いながら座る。 「何だね」 「子供たちが大きくなるにつれて、今回のようなことはこれからも度々起きますわ。ゲーム機が欲しいは、そろそろ一馬は言いそうですよ。幼稚園のお友達では早々と持っている子がいるみたいなんですの。お小遣いやパソコン、携帯電話はいつから持たせるとか。習い事や。お友達がやってるからどうのこうのと言い出さないとも限らない。その時、どうします?」 「そうなんだが」 「ペットひとつ取ってもそうです。我が家の方針として、一度、私とあなたの認識は一致させておいた方がいいと思っていたのですけど。いかがでしょ? でないと、都度、子供からつつかれて大騒ぎ、私と慎一郎さんとの意見が合わなかったらそこでまた衝突を子供の成長ごとに繰り替えすことになりますわ。ねー、三先くん?」 と言いながら、秋良は自分の腹をさすった。 まるまると大きく育った腹は子供がいる証。数ヶ月後にはおぎゃあと生まれてくる予定である。 「……くん、ってことは? 今度も……」 「ええ、男の子ですわ。今日、エコーでうっかりわかってしまいましたの」 よかったですわね、と秋良はニッコリ。
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