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~第二話 黒の騎士~
「…」(イライラ
フレアは珍しくーフレアはなかなか自分の感情を外に出さないーイライラしていた。
その理由は、騎士団長の命令にあった。
「黒ノ騎士団は、これから一週間、民を守る為に街を巡回しろ!」
騎士団長の命令は最もだが、フレアにとっては当てつけだ。
黒の騎士と呼ばれ、王に期待されているフレアに嫉妬していることは、周知の事実であり、それを止める者も居なかった。
もちろん、フレアの態度にも、問題があるのだろう。
フレアは、女に興味を示さず、律儀に任務を全うすることだけを考える。他の者とは違う、騎士道を具現化した様な人間なのだ。
「隊長も大変ですね~」
「騎士団長、酷いっす!」
黒ノ騎士団の隊員だけが、フレアの味方をしてくれる。
そんな彼らにふわり。と笑みを浮かべると、フレアの中にあった黒い感情が薄れる。
…とは言うものの、隊員の真の心には、フレアは気付くことはない。
そんな隊長を、隊員は慕っているが。
実は、フレアを慕う隊員の中には、フレアに、信頼以外の感情を持つ者もいるのだ。
中性的な容姿のフレアは、男女問わず魅了する。
騎士団にいて、あまり女を知らぬ隊員が、女の様な容姿のフレアに心を寄せるのも、無理は無いことだが。
ー黒ノ騎士団は、今日も平和だ
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