~第五話 ヴァイアント王国~

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~第五話 ヴァイアント王国~

ヴァイアント王国。 それはフレアの仕える国。 作物は豊かに実り、国民の生活は豊かであった。 しかし、その分他国からの侵入者が多いことも事実であった。 その為、フレアのような騎士団が発展したのだ。 隣国、ルネセウス帝国は、たびたびヴァイアント王国に侵入し、その度に撃退されていた。 しかし、油断は禁物。 いつまた侵入するか分からず、国境近くに住む国民は、何時でも戦々恐々としていた。 騎士団の守る場は、たいてい王のいる都市だ。 国境近くまで派遣されるのは、老いた騎士が多い。 そのことに不満を持つ騎士もいたが、弾圧されてしまった。 「…」 今、フレアは上司…騎士団長に抗議をしていた。 「お言葉を返すようですが、国境近くに敵が侵入してからでは、国境近くに住む国民は守れません。 私の騎士団を派遣して下さい」 「お前たちが行く程のことではない。お前たちには期待が掛かっているのだから、その期待に添えるように努力しろ!」 騎士団長とフレアの意見は対立し合ったまま、時間だけが過ぎてゆく。 「しつこいぞ、お前のような新参者が、口を挟むな!」 きっ!っと睨んでくる騎士団長の表情に何を思ったか、緩やかに首を振ると、フレアはある場所へと向かった。 後ろから騎士団長の怒った声が聞こえてくるが、お構いなしだ。 「一人で駄目なら、仲間を集めるだけです。 …諦める訳にはいかないのだから」 ぎゅうぅ。自分の手を握る音が、周りに響きそうなほど、フレアは自分の手を、強く握り締める。 「…絶対に」 ー運命の歯車は回り始めた。 もはや、止める術はないー
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